2チャンネルはなぜ潰れないのか?

2ちゃんねるはなぜ潰れないのか? (扶桑社新書)

2ちゃんねるはなぜ潰れないのか? (扶桑社新書)

目次

  1. ITのウソ
  2. 明るい未来への誤解を解く
  3. 対談(×佐々木俊尚
  4. 間違いだらけの法律
  5. メディアと2チャンネル
  6. 対談(×小飼弾

上記を大項目として、著者の思うところをエッセイ形式で構成されており、それぞれのサブトピックに関して通説とは異なる独自(かなり冷めている)の視点で考えを述べられていた。受け入れるかどうかは別として、自分の見識を広げる意味では読む価値があると思う。
(※個人的には、数ヶ月くらい時間をおいて、改めて読み返してみようと考えている。)

ちなみに、タイトルの「2チャンネルがなぜ潰れないのか?」という点に関してあまりページが割かれていないのには、「あれっ?」とも思ったがそれはスルーしておきます。


最後に、印象に残った箇所を以下にいくつかピックアップ。



もし堀江さんが逮捕されていなければ・・・(P48)

当時のライブドアは、既存で流行しているサービスを見つけると、自社で作れない場合には買い取ってしまうという方式を採っていました。既存の面白いサービスを展開している技術者に、お金を渡すということを積極的に行ったのが堀江さんです。
・・・
ライブドアを堀江さんが動かしていたことは、才能のある人が面白いものを作り出す原動力になっていたのです。

近鉄買収、選挙戦出馬などで彼が世間を騒がせていた当時、自分自身がWebビジネスに興味を持っていなかったためライブドア、楽天などに関してはメディアで報道されている程度しかしらなかった。
露骨に繰り返していた買収は、エンジニアにサービスを作るモチベーションを与える一面を持っていたんですね〜。今のグーグルがやっているように。



ビジネスソフトの今後(P95)

マイクロソフトのオフィスが企業ユーザに使われなく心配は僕はないと考えています。
・・・
しかし、最近になりビジネスユーザでも、マイクロソフトのワードとエクセルから、グーグルが提供を開始した『グーグルドックス』を使用する人が、徐々にではありますが増えつつあります。
・・・
今後はソフトウェアもWebベースになっていくのではないか、という話もチラホラ・・・。
・・・
個人的な見解ですが、Webベースのアプリケーションが出回ることはないと思っています。Webベースのアプリケーションを使うことは、100%インターネットに繋がる通信環境が必要です。

これは、同意できない。
ビジネスユースのSFAパッケージであれば、ネットワークに接続できない状況でも作業ができるようにローカルPCにWebサーバやDBをインストールすることで対処可能となっている。
また、上記と同じことを目的としてグーグルが出した『Google Gears』もあるため、ビジネス、個人ユースに限らずWebアプリが発展していく展望は間違いがない気がする。



インターネットの未来(P99)

インターネットというのは、基本的にパソコンの前に座ってやるものです。普通に働いている一般的な人が持っている、1日のプライベートな時間のうちパソコンの前に座っている時間というのは、せいぜい1、2時間でしょう。しかし、携帯電話であれば、どこにいるときでも必ず持っています。パソコンでインターネットに接続するよりも、携帯電話でインターネットに接続するほうが、よっぽど便利なうえに、より多くのサービスにも繋がります。
また、携帯電話のメールも今は端末本体に蓄積されていますが、サーバーに蓄積され、インターネットのブックマークなどの情報もすべてのサーバに記録される。Web上にスケジュールデータを残しておけば、どの場所からでもどの端末でも利用することができます。このように個人が行っている行動のほとんどが、インターネットを経由した先にあるサーバーに蓄積されていくという状態になる。
・・・
パソコンでは前に座っている時間のデータしか取れないことに対し、携帯電話であればどこに電話したとか、どこに出前を頼んだとか、誰にメールをした、というデータをとることも可能です。
・・・
携帯電話会社であれば、契約者のプライベートな交友関係から、頻繁に利用している病院まで、すべてを把握することもできる。
こういった技術のほうが、よっぽど素晴らしいと考えているのですが、携帯電話会社はWebの未来ということについて言及しません。

これも自分は違うと思う。
端末ではなくサーバに情報を保管する流れが進行すると、電話は別として、スケジュール・ブックマーク・メールなどはキャリアが提供するサービスを必ずしも利用する必要がなくなる。
キャリア以外の企業が提供するサービス利用が普及すると、キャリアはただ回線を提供するだけで付加的な収益をあげれなくなるため、Webの未来について言及することは少ないのではないのだろうか?
キャリアとしては、いくらインテリジェントなネットワークを作っても、固定の回線利用料が入ってくるだけで、おいしい部分はすべてサービス提供側のWeb企業に持っていかれる可能性が高いので。